いか様のぶろぐ

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COVID-19治療に期待される薬

新型コロナの有望薬「アビガン」「レムデシビル」ってどんな薬?

business.nikkei.com

(キャッシュ)P.1 http://archive.ph/un97s  P.2 http://archive.ph/LRv5n

 

厚生労働省自治体・医療関係者向けの情報では、これらの抗ウイルス薬を用いた治療の考え方(指針)が発出されています。

COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版(2020年2月26日)

https://www.mhlw.go.jp/content/000601417.pdf

日経の記事は、厚生労働省の当該指針が発出された翌日の記事になっています。

 

医療機関向けの公文書と関連記事をひと括りにするのもおかしな話ですが、それぞれ興味深い内容のため、あえてひと括り、というかまとめてみようと思います。

 

まず、現時点でCOVID-19治療に効果がある「と期待される」薬剤については3種以上あります。

 

これらの薬は既存の薬で特にCOVID-19に対して開発されたものではなく、カレトラについては抗HIV薬、アビガンは抗インフルエンザ薬、レムデシビルはエボラ出血熱・マールブルグ感染症の治療薬です。

これら(カレトラ・アビガン)の使用にあたり共通している点は、

 COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版 より

現在日本ではCOVID-19に適応を有する薬剤は存在しない。よって行う事のできる治療は、国内で既に薬事承認されている薬剤を適応外使用することである。使用にあたっては各施設の薬剤適応外使用に関する指針に則り、必要な手続きを行う事とする。

とし、

現時点では、患者の臨床経過の中における抗ウイルス薬を開始すべき時期は患者が低酸素血症を発症し、酸素投与が必要であることを必要条件とする。そのうえで以下のように考える。
1.概ね 50 歳未満の患者では肺炎を発症しても自然経過の中で治癒する例が多いため、
  必ずしも抗ウイルス薬を投与せずとも経過を観察してよい。

2.概ね 50 歳以上の患者では重篤な呼吸不全を起こす可能性が高く、死亡率も高いため、
  低酸素血症を呈し酸素投与が必要となった段階で抗ウイルス薬の投与を検討する。

3.糖尿病・心血管疾患・慢性肺疾患、喫煙による慢性閉塞性肺疾患、免疫抑制状態等の
  ある患者においても上記 2 に準じる。

4.年齢にかかわらず、酸素投与と対症療法だけでは呼吸不全が悪化傾向にある例では
  抗ウイルス薬の投与を検討する。

ということになっています。
なお、厚生労働省指針によるとこの抗ウイルス薬については「カレトラ」と「アビガン」が対象となっているような書き方で、レムデシビル、インターフェロン、クロロキンについては「今後の知見が待たれる」と書かれています。

なおレムデシビルについては、現在、アメリカの製薬会社にエボラ出血熱の治療薬として開発中のものであり、COVID-19治療に効果があると立証され薬として普及するには、

日経記事 より

レムデシビルが承認薬として日本の患者に届くには時間がかかりそうだ。NIH(米国立衛生研究所)による臨床試験は、結果が出るまで1年程度かかるとの報道がある。申請から承認まで、通常だとさらに1年ほどかかることから、ある製薬会社の担当者は「緊急性を考えて特例扱いだとしても、最短でも年内の承認だろう」とみる。

との見解がなされています。

 

これらの薬剤の背景的なものや作用機序、その他詳細については上述の日経記事にて、特に医学・薬学に詳しくない人が見てもわかりやすい内容になっていると思われるので、是非ご覧になってみてください。

 

カレトラとアビガンについては上述の厚生労働省指針により、少なくとも日本での事情も勘案されたその投与方法等についての記載はありますが、いずれも既に薬事承認されている薬剤の適用外使用であり、COVID-19に対しては治験(臨床試験)データも殆ど無く、そもそも「なぜCOVID-19治療に効果(の可能性)があるのか」が立証されておらず、当該患者に対してこれらの薬剤を投与した場合の不都合・副作用などのデータについても圧倒的に少ないと言わざるを得ない状況です。とにかく、いずれの薬も保証された効果があるわけではありません。

希望のある話をすると、カレトラとアビガンは既に承認された薬なので、今後の臨床データの蓄積により効果が確認されれば患者への投与に時間は要しないことでしょう。

 

人類の強敵であるウイルスと人智の戦いは既にはじまっています。今後、一日一日の時の流れの中からSARS-CoV-2に打ち勝っていく様子を見守り続けたいと思います。

 

 

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